夏が来ると、必ず思い出すのが君と一緒にいつもいたあのカフェだ。
真っ白な壁、真っ白なテーブル、真っ白な椅子、真っ白なマスターの髪。
何もかも真っ白なあのカフェで君と僕は将来の夢やお互いの事、時には笑い転げるようなバカ話に花を咲かせたね。
君はいつも冷房も効かないあのカフェで、窓際の一番端の席をわざわざ選んでたね。
汗をかきながら熱いホットコーヒーを飲んで・・・
あの頃の事なら僕はどんなことでも思い出せるよ。
君の着ていたパタゴニアのTシャツ。くたびれたジーンズ。レッドウィングのブーツ。
マスターが僕らの為にプレゼントとしてかけてくれた、 boys town gangの「君の瞳に恋してる」。
君はマスターにせがんで、来る度にかけてもらってたっけ。
あの頃良く行っていた、小さなレコードショップでこの曲を見つけて衝動的に買って
しまった。あの頃の気持ちに戻りたくて。
今聴きながらこの手紙を書いてるよ。
・・・元気ですか?
ホントはそれだけを確認したくて、君にそのコトバを届けたくて、手紙を書いたんだ。
お互い離れてしまったけど、僕はいつまでも君のことを忘れない。
淋しくなんかないよ。この曲を聴けば、いつでも君が目の前に現れるから。
君の大きな二重の瞳に文字通り僕は恋をしていたんだと思う。
だから、「さよなら」のコトバは言わない。
僕はなんとか元気でやってるよ。
新しい生活もやってみればまんざらでもないよ。良い友人たちに恵まれて、僕は幸せだと思う。
タケシなんかは、やっと遊んでくれるヤツが出てきて逆に喜んでる。
・・・・もう昔の思い出にふけってもきりがないので、この辺でやめとく。
いつまでも元気で、そしていつまでも周りを幸せにしてしまう程明るい君でいて欲しい。
それでは・・・・・
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第2弾ショートストーリー。男の子の彼女に対する思い出が切ないです。
一歩間違えば危ないヒトとも取られる回想をお楽しみください。