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August 22, 2003

新婚旅行物語 第十章 シチリア編2  [ 新婚旅行物語 ]
新婚旅行物語 第十章 シチリア編2「カポタオルミナの誘惑」

朝が来た。窓を開けて寝た為、波の音が体に響いてくる目覚め。なんとも心地良い。

ここ、ホテル・カポタオルミナなグランブルーの撮影の撮影現場として有名なホテルだが、そのミーハー根性も吹き飛んでしまうくらい素晴らしいホテルだった。
観光メインの大忙しのツアー日程においてまさかこんなにゆったりと流れる時間を堪能できるなど思いもしなかった。

朝食へ向かう。朝食のレストランは外のテラスと直結していた。まだ肌寒かったが、もちろん外に。ヨーロッパにきて外で食事をすることが増えた。なにより気持ちいい。ここの朝食が一番うまかった。コーヒーも。


朝食を食べながら今日の打ち合わせ。

ayu「今日はパレルモの方にバスで出かけて遺跡めぐりだね。」
K子「うーん・・・そうだね。」
ayu「そんで、向こうで夕食まで食べよう」
K子「うん・・・・」
ayu「どうかしたの?」
K子「いやなんでもない・・・」

あきらかに何か違うことを考えている様子。朝食を食べ終わった僕らは準備のために部屋に戻ることに。

K子「もう一回ビーチ見に行こうよ」
ayu「うん。いいよ」

ビーチをもう一度見に行くことにした。相変わらずののんびりした風景は心が和む。

ayu「もしかして、遺跡止めたくなってきた?」
K「うん。」
ayu「もしかして水着買いに行きたくなった?」
K「うん。」
ayu「もしかして遺跡行く気ないでしょ」
K「いや、そんなことは・・」

遺跡止めて水着を買いに行きました☆

ホテルの水着はバカみたいに高いので少し歩くことに。ホテルのそばの道に大量の車が路駐してあった。メルセデスAclassやsmartのようなクルマはこういう土地柄で生まれたのだろう。ひときわめだつ漢(オトコ)っぷり溢れる縦列駐車のクルマがあった。
tao4.jpg
脅威の縦列駐車

ふと横を見ると今まさに路駐をしようとしているクルマがいた。クルマ一台分ほどのスペースに止めようとしている。

日本では信じられないことだが、驚くことにそのクルマ(メルセデスのSクラス)は何度も前後のクルマにぶつけながら駐車を完了。
こっそりFRP製のバンパーを見ると、ほとんど傷は残っていない。

だから外車のバンパーはボディ同色じゃないのね。

と納得。

車がガンガン通るがけっぷちの車道を歩く。二人でアルプスの少女ハイジ(なぜ?)の テーマを歌いながら古ぼけた海の家のような所についた。海遊びグッズが所狭しと並べられている。

ゴーグルと二人分の水着を合わせて15ユーロ(約2000円)もちろん日本では恥ずかしくて着れないサムイデザインの水着だ。
僕らはホテルに戻ると一目散にビーチへかけて行った。透き通るように綺麗なビーチは開放感抜群。

場所をプールに移動してパラソルのたもとで寝そべって、持ってきていたウォークマンで音楽鑑賞をしながらビールを飲みながら小説を読む。

ああ、なんてサイコーなんだろう。(涙

これがリゾートなのかと感動した。この楽しみ方は決して間違っていないと思う。K子もご機嫌だ。
tao8.jpg
プールはもちろんグランブルーに登場したプールだ。

夕方までのんびりした僕らはタオルミナの街に夕食を食べに行くことに。タオルミナの街まではホテルからかなりの距離があるが、シャトルバスが無料で出ている。帰りは夜9時に迎えにきてもらえるようだ。
前日も来たタオルミナの街。夜になって雰囲気はさらに良くなってくる。
部屋で飲む用のワインを酒屋で購入し、いくつかのお土産を買ってレストランを探すことにした。

相変わらず、オープンが遅い。夜8時になってやっとオープンするお店ばかりだった。僕らは慌てて入り注文した。

K子「9時まで間に合うかなあ」
ayu「大丈夫大丈夫」

料理は相変わらず美味しかったが、時間があまりないため焦る。
そのとき20人ほどの団体が来た。夫婦でやっている小さなお店は急激に人口密度が増してパニック状態になった。
食べ終わった僕らは会計をすることに。

ayu「やばいね、おばちゃん忙しそうだね」

しばらく待つが一向におばちゃんはやってこない。

K子「バスに間に合わないよ。」

団体に水を出すのも精一杯のオバチャン。僕らはあきらめて待つことにした。

ayu「く、食い逃げする?」

K子「貴様は外国まで来て恥じ晒すんかい(怒

日本ではいつ恥をさらしたのかというツッコミはやめておいたが、時間は待ってくれない。やっとの思いで会計をすませ、猛ダッシュでバスの待ち合わせ場所に向かった。


ayu「やっぱりバスいないね☆

ayu「どうする?」
K子「うーん。あるこうか。」

ayu「あ?

K子「だってタクシーこわいもん」
ayu「だってかなり遠いよ。」


K子「歌ってれば着くって

僕らはここまでタクシーを一回も使っていない。それはなぜなら


タクシーが怖い以外の何者でもなかった←歩くほうが怖いっつーの。


説得してもだめなので40分くらいはかかりそうな距離を仕方なく

「アイアイ」を歌いながらホテルまで歩きました。


二人「アーイアイ アーイアイ アーイアイ アーイアイ」


二人「おさーるさーんだよー(泣」


観光バスやら、タクシーやらがビュンビュン通り過ぎる細い真っ暗な道。ホテルに着いたときは


せっかく買ったワインを飲む気力すら残っていませんでした。


さようならシチリア。


新婚旅行物語 第九章 シチリア編1  [ 新婚旅行物語 ]
新婚旅行物語 第九章 シチリア編1 「グランブルーの青い海」
小型の目覚し時計がけたたましく鳴る。アタマが痛い。ここはどこだろう?僕は一瞬ここがどこなのかわからなかった。

ここはローマのホテルだということがわかるまでかなりの時間を要した。

またヒトリでワインを空けてしまった。
時刻は6:00。早起きが苦手な僕としては

常軌を逸脱しています。

横ではこの旅で常に早寝早起きを実行しているK子が既に準備を済ませ、ホテルの窓からビデオ撮影をしている。

もちろん解説付で。

K子「外はまだ暗いです。しかし幻想的で綺麗ですねー。」
ayu「(いったい誰と会話しているのか?)」

その後もトイレや風呂など部屋の中を撮りまくっている。後で記念になるからこれもいいだろう。

しかしなぜ敬語で話すのでしょう?

準備を済ませた僕らは定番の朝食に。相変わらず朝食は簡素だがうまい。
チェックアウトを済ませ、空港へ向かう。頭の中はシチリア-タオルミナのことで一杯だ。

ローマからシチリアまでは飛行機で2時間程。丁度福岡から沖縄に行くようなものか。眠りこけている間にあっさりシチリアに着いた。天気は最高にいい。
タオルミナまでは例によって送迎者で。もう手馴れたもんである。

目指すはグランブルーの撮影の場所にもなった念願のホテル「カポ・タオルミナ」だ。次第に海が見え否が応でも気分が盛り上がってくる。うねる道を幾度も越えついに到着した。
tao1.jpg

星が4つもあるよママ。4つも☆

イメージとしては凄く古い建物を想像していたがその佇まいは豪華そのもの。フロントも、通路も、部屋も

リゾートそのもの

僕らは大はしゃぎでチェックインを済ませると例のビーチに向かうことにした。なんとも趣のあるエレベータで一番下まで降りるとそこは別世界だった。

目の前にはプライベートビーチが広がり、右手には例の洞窟が。。

薄暗い洞窟(天然ものの洞窟らしい)を200m程進むとそこには

映画でみたままのレストランとプールが。

ayu「すごすぎ」
K子「すごー」

思わずハイネケンをオーダーしてしまう僕。K子はパニーニを注文。

レストランはまだオープンしていない為、中には入れないが、あのがけっぷちのレストランは健在、そしてジャンレノとジャン=マルク・バールが潜ってワインを飲んだあのプールも健在。

プールサイドでは宿泊客が水着で横になって小説を読んでいる。
その向こうには眩しいほどの青い海。そしてカメラを下げた東洋の旅行者二人

激しく似合ってません

しかしこんなところに2泊もできるなんて夢のよう。
今日の予定はタオルミナの街徘徊のみなので昼食はこの念願のガケップチレストランでとることにする。

オープンは12:00からなのでしばらくビーチでのんびり。 気温は高いが汗が滲むほどでもない最高のコンディション。不快指数で表すとマイナス500%(別にあらわさなくてもいいけど)

のんびりしてると鼻歌まじりのおっちゃんがやってきた

ayu「シェ、シェフだ。」
K子「まじで?」
ayu「いくぞ!」

シェフが来るや否やテーブルに着く僕ら。向こうからシェフがやってくる

シェフ「☆○▲××##$&¥!」

僕らを歓迎しているようだ。早速オーダーをしてみる。やっぱりイタリア語はわからないが、どうやらメニューはバイキングとコースの二つしかないようだ。

ayu「や、やばいよ。どっちも60ユーロって書いてない?」

K子「やめよう。

ayu「シェフ横にいるし。ムリだよ」

驚愕の高価メニュー。どうする?

ayu「プ・プリーズ」

乗りかかった船だから仕方ない。あきらめながらもオーダーした。
しかし実際に食べてみると、バイキングとは言えさすがに高いだけあってそれはもう素晴らしい食材だった。もう美味しいのなんのって。
tao3.jpg
眺めもレストランの雰囲気も最高でした。


昼食後はホテルからタオルミナの街にシャトルバスに乗って出かけた。そこはローマなんかとは幾分趣の違った佇まいだった。味のある建物が坂道に並んでいる。

山のかなり上のほうに位置する街なので坂道が多いのだ。
今回の旅はとにかく歩きつづけている。午後から夜まで歩きとおし。そのくらい歩いてて楽しいのだ。
tao5.jpg
tao7.jpg
夕食はピザを食べた。向こうで言う、「お母さんの味」的なお店だ。石釜で焼いたピザと食後の手作りケーキは最高だった。
ホテルに戻り、タオルミナの街で買った3ユーロのワインで乾杯。

窓を開けると波の音。


ayu「最高だね。ここに泊まれてよかったねー。」

K子「・・・・・・(爆睡中)」


ま、予想はしてたけどね。

もう既に「ねじまき鳥クロニクル」は3冊目に突入していた。


新婚旅行物語 第八章 ローマ編1  [ 新婚旅行物語 ]
新婚旅行物語 第八章 ローマ編1 「花より団子の街ローマ」
ローマに辿り着く前に書き忘れたことが。

2日目のイビサのホテルでカギを預けて出かけようとした時のこと。
なにやらホテルマンのお兄さんが僕らを呼び止めている。

お兄さん「■▽#*@※○○◎」

僕は全身をビクっとさせた。


僕は万引きを見つかった少年のようだった。 海外旅行に来て外国人に呼び止められることなんて滅多にないからだ。

な、なにか悪いことでもしたのだろうか? お兄さんはA4の用紙を僕に差し出している。

ayu「す、スペイン語なんて読めないのに・・・」

その紙はなんと日本語で書かれているではないか!
そのFAXは遥か遠い日本からのお便りだった。なんとプランニングツアーのK野さ ん(祝新オフィス、年齢不詳)からだった。

内容は 「イタリアが大規模なストに入るので、飛行機が飛ばない恐れがある。ということで便を変えたので、スケジュールの変更よろしくー」 というものだった。僕らはここで初めて自分たちだけで海外旅行をしている怖さを知った。

このFAX受け取らなかったら僕達路頭を彷徨ってたね★

K野さん(年齢不詳)の細かな心遣いに感謝。だが、K子はその知らせを聞いて、苦渋の表情だった。

ayu「でも良かったね、ちゃんと連絡が来て。」
K子「朝ご飯が食べられない・・・・・」

そう、K子は毎日の朝ご飯を死ぬほど楽しみにしていたのだ。

ayu「ローマに着いてから空港で食べればいいよ。」
K子「・・・・・・」

そんなこんなで、イビサを予定(昼の便)よりも早く(6:00)←はやすぎ、
ローマに向けて 旅立つのであった。

毎度のことだが僕は朝が弱い。 5:00に持っていった目覚まし時計で目覚めた僕らはタクシーを拾い空港へと向か った。

ayu「イビサ楽しかったね。」

K子「・・・・・・・・」

ayu「どしたの?」

K子「ごはん・・・・」

まだ朝飯のこと考えてるのかよ。

ローマに降り立った僕らはいつものように送迎車の運転手に明るく迎えられた。やはりこれはありがたい。 自分でタクシーを拾ってホテルまで向かうのはやっぱりツライだろう。
今日の送迎車はGMのアストロ。初めて乗るアストロは最高に快適だった。
運転手さんは気さくな無精ひげが似合うイタリア人。
ホテル「クイリナーレ」まで連れて行ってくれる。 ローマ空港からホテルのあるローマの中心部までの道はかなり混んでいたが、僕らの乗ったアストロは隙間を縫うように追い越していく。
邪魔する車には激しいクラクションで対処していく。

ayu「あ、あの怖すぎるんですけど。。。」

もちろんコトバが通じるはずもなく、驚異的なスピードで車は追い越していく。

K「コ、コワイ・・・」

ふとスピードメーターを見ると、

ayu「ひゃ、170km/h・・・・・」


イタリア、恐るべし。

ホテルはかなり豪華なつくりで満足。
僕らは早速、映画「グラディエーター」の舞台、コロッセオに向かうことにした。今回の移動も勿論地下鉄だ。地下に降りた僕らはイタリアの地下鉄の乗車券自動販売機の前で立ちすくんでいた。

ayu「チケットどうやって買うの?(涙」

これがさっぱり分からない。料金はわかるのだが、硬貨を入れてもすぐに返却される。

ayu「絶対壊れてるってコレ。」

ほとんどのヒトが定期券のようなもので素通りしていく。リュックを背負い、カメラを首から下げた超旅行者の僕らだけが自販機の前でおろおろしている。

やはり壊れているのだろうか・・・

と思っていると、イタリアのおっちゃんが向こうから歩いてきた。 おっちゃんは慣れた手つきで自販機に小銭を入れ、あっさりと切符を手にしたではないか!

K子「どこが壊れてるんだよ(怒」

どうやら、細かい硬貨から順に入れていかなくてはいけないようだ。

どうにかならねぇのか!そんくらい。

いつものようにビクビクしながら地下鉄に乗り、乗換えをした後、コロッセオに到着した。

思ったよりボロい。思ったより小さい。

中に入ろうとゲートに近づくと、警備員に呼び止められた。どうやら別の場所で入場券を買わなくてはいけないようだ。チケット売り場を探すとそこは長蛇の列。しかも日本人ばっか。 一気に入る気失せた。やっと順番が来てびっくり。一人20ユーロ近くもするではないか。

高すぎるよ。コロッセオ。

中に入ってさらにびっくり。 全然楽しくないし、キレイでもないし。 歴史的意義や背景が全く分からない僕らには全く無用の長物であった。

足早にコロッセオを立ち去った僕らはガイドブックを片手に近くにある「フォロ・ロマーノ」へ行くことにした。
ここは遺跡の宝庫らしく、見所も満載とある。

なるほど、遺跡が沢山ありそうなカンジがするが、入り口が見つからない。

散々歩いた挙句、やっと入り口発見。また入場料をとられ、なんとか入れたのがもう既に16:00を回っていた頃。K子は空腹のせいか機嫌が悪い。

ayu「わーすごいねー。遺跡だねー。キレイだねー」
K子「なんかムリして言ってない?」

僕らには遺跡はもういいみたいです。

遺跡はおなか一杯だが、歩き過ぎた為、空腹感は絶頂に。僕らはまた地下鉄を乗り継いで、ローマで一番有名な「スペイン広場」に行くことにした。
また自販機で買うのが面倒なため、さっきの使用済みのチケットを試しにさしてみることにした。

K「一回使ったヤツとかだめだってー。」

ayu「あ、とおった・・・・」

先ほど使用した切符がなぜか通ってしまう。

意味わかんねえよ。イタリア

スペイン坂はさすがに観光客(=日本人)でごった返している。有名ブランド系ショップが立ち並び、日本人たちがそれに群がっている。そして誰も彼もがジェラートを食っている。何かがおかしい。

僕らは日本で友人Oに聞いてきたイタリア料理店を探すことにした。彼からもらったのは周辺の超大まかな地図と、「スペイン坂から南に下ったところにある、イル・レオンチーノというお店が激ウマだった」との情報だけだった。

K子「どこかなー?」
ayu「うーん」

つうか全くわかりません。

K子の機嫌は最高潮に悪化している。空腹だとヤツは箸が転んでも怒りだすのだ。
あたりも暗くなってきたし、治安の悪いと言われるイタリアで二人きりで大丈夫なのか?

一時間ほど彷徨った挙句、それらしき看板が。

ayu「あ、あれイルレオンチーノって書いてない?」
K子「書いてある書いてある、急ぐぞ!」

猛ダッシュで走る僕ら。どこにそんな力が残っていたのだろうか。やっと店の前までたどり着いた。

ayu「イルレオンチーノって・・・・」

ネクタイ屋じゃねえか(怒


力尽きた僕らはそこから最も近くにある、細い道を入った路地にあるイタリア料理店に入ることに。 ここも雰囲気抜群だ。

ayu「よし、旅も中盤過ぎたことだし、ワインでも一本飲んで景気つけるか。」

K「てめえはいつも景気つけてるじゃねえかよ

ayu「・・・・・」

頼んだワインは確かキャンティ・クラシコだったと思う。日本でも飲めるんだけどね。ちょっと高めのワインをチョイス。メニューを見てもいつものように分からない為、お任せすることに。

出てきたのはそれはそれは美味しいトマトソースのニョッキと、ベジタブルラザニアだった。
前菜なのに物凄い量だ。 それをこれまた美味なパンにガシガシ付けて食う。やっぱりイタリア料理最高。
メインは子羊のステーキ。

空腹感が絶頂だったため、涙がでそうだ。今日も良く歩いた。


ワインも相変わらず美味い。 そしてこの細い路地で店の外で薄暗い明かりの元食べるこのシチュエーション!

↑これだったら外で食事したくなるね

↑うまかった

↑まじうまかった

いつも飲まないK子もこの雰囲気で、このワインならいけるようだ。

K子「オイシー」

ayu「ちょっと飲みすぎてない?」

食後のコーヒーが来たときには顔が真っ赤だった。
それにしても美味かった。観光客目当てのレストランにしないでよかった。 半分くらい残ったワインをテイクアウトし、会計を済ませると、なにやらK子がカメラを取り出している。

酔っているのでノリノリだ。お店のお兄さんと写真をとろうというのだろう。

僕は仕方なくお兄さんとツーショットの写真をとってやることに。

K子「わーい」


アノ、チカヅキスギナンジャナイデスカー?


店を後にしたのがもう10時を回っていた。夜の地下鉄は怖い ←つうかタクシー乗れって。

K子「うっ・・・・・」

突然K子が駅のホームにうずくまった。

ayu「ど、どうしたの?」

K子「ぎ、キモチワルイ・・・」

周りを見ると、物凄く怖そうなイタリア人たちがチラチラこちらをみている。

ダカラノミスギダッテイッタジャナイカ(泣

なんとかひっぱって連れて行くことに。 地下鉄の中でも緊張しっぱなし、K子はそれどころじゃない様子。

周りのヒト全員マフィアに見えました。(泣

やっとの思いでホテルに着いたと同時にK子は倒れるように寝てしまった。

ayu「フロはいらないのー?」

K「・・・・・」

ayu「おーい」

K「・・・・・」

テイクアウトしたワインと村上春樹の小説で旅の5日目も更けていくのであった・・・


新婚旅行物語 第七章 イビサ編2  [ 新婚旅行物語 ]
新婚旅行物語 第七章 イビサ編2 「イビサ島一周ツーリング」
イビサの夜はゆるやかに明けた。泊まっているホテル「モンテソル」は街中にある為、朝から騒々しい。 朝も結構早く目覚めた僕らは朝食を食べに1階のカフェに降りた。各ホテルで違う朝食を食べるのも結構楽しみだった。 このホテルの朝食はクロワッサン風のパンとベーコンと卵、それにとてもおいしいコーヒーだった。 旅も中盤に差し掛かっている。この朝のヒトトキが旅行気分を更に掻き立てる。 なんと贅沢なヒトトキなんだろう。僕らはコーヒーを飲みながらしばらく街の喧騒を眺めていた。

今日の日程は兼ねてから楽しみにしていた、

イビサ一周バイクツアー

である。この日の為に国際免許も取得済みだ。国際免許は警察署で手数料2600円程で15分程度で申請が終わる。あまりあっさりしすぎて拍子抜けだった。

イビサにはレンタルバイク屋も結構多いようだ。空港からの道にはかなりのレンタバイクの看板があった。通る道は大きめなスクーターが結構走っている。

果たしてバイクを借り、そして無事ツーリングできるのであろうか?
食事が終わった僕らは早速フロントに聞きに行った。昨日エレベータで助けてくれたお兄さんだ。

ayu「i want to rent a motorcycle」
ホテルマン「ok!,ok!」

なんとコトバが通じた!お兄さんはレンタバイクのパンフを僕に渡した。

ホテルマン「have a good driving!」

最初は辛かった会話も段々楽しめるようになってきた。(英語だけどね☆)僕らはパンフのお店に向かった。レンタル屋に着くと、ごつい体つきをしたお兄さんが僕らを迎えた。

お兄さん「■▽#*@※○○◎?」

どうやらバイクを借りたいのか?と聞いているようだ。←ホントか?

ayu「i want to rent a motorcycle!」

お兄さん「OK,OK!!」

諸手続きを済ませ、いともあっさりバイクを借りることができた。

こんなに簡単でいいのか?

お兄さんは地図を僕らにくれ、丁寧にイビサの観光名所を教えてくれた。
借りたのはpiaggio の skipperだ。真っ赤な125CCのかわいいやつだ。久しぶりのバイクなので緊張したが、スクーターなのでなんとかいけそうだ。

僕はまず、ホテルの窓からも見えていたイビサ城に向かうことにした。
例のギリシャ風の大きな建物だ。

運転してみて分かってはいたのだが、右側通行が全く馴染めない。しかもスペインという国は街中では一方通行が圧倒的に多い。
運転してすぐ、曲がる方向を間違えてモタモタしていると、後ろからクラクションが。

後ろを振り向くと外人カップルがあきれた顔で僕らを見ている。その顔つきから


「ニホンジンバカダネー」

と今にも聞こえてきそうなあきれ顔だった。(泣

イビサ城はシーズンオフだからなのか、朝も早いからなのか、全く人がいなかった。
近くの教会にも誰も人がいなくて、ひっそりとした雰囲気。
例の真っ白な建物がずっと続いており、どこをとっても絵になる。

↑真っ白な建物に水色のフレーミングがカワイイ!

僕らはバカ日本人カップルよろしく、ビデオとカメラで収めまくった。
写真とらずにはいられない風景ばかりで感動だった。
人が少ない観光地っていいなと実感。

次は「ヒッピーマーケット」というところに向かうことにした。
バイパスのような一直線の道をひたすら東に向かう。途中で海が見え、気分は最高だった。
ホントにバイク借りてよかった。イビサに来たらバイク、これは正解かも。気温も寒くもなく暑くもなく、過ごしやすい気候だ。

僕は学生の頃乗っていたバイクで二人乗りをして良く出かけたことを思い出した。あれはまだK子と付き合い始めた頃だった。あのころはK子も素直で良・・・・いや

思い出すのはよそう。(涙

迷いながらもヒッピーマーケットについた。ここは一番の観光地なのだろうか、人が一杯だった。

ayu「これは・・・」


ただのフリーマーケットじゃねえか。

もちろん買い物をした。K子はなにやらアクセサリを買っているようだ。僕はナイキの帽子が目に止まってそれを狙うことにした。その店の背のものすごく高い黒人のお兄さんに僕は話しかけた。

ayu「how much?」
お兄さん「20ユーロ」

日本円にして2500円ってところか。迷わず値切ることに。

ayu「price down please!」

身振り手振りで交渉だ。文法なんて気にしません。

お兄さん「・・・・OK!」

あっさりOKだった。

ayu「how much?」

お兄さん「8ユーロ!」


それ下げすぎじゃない?つうか最初の値段はなんだよ

もちろん即決で買いましたがね。

その後も色々なところにツーリングをした僕らは今日の目的としていた、サン・ミケル教会に向かった。丁度イビサの北の方に位置するところにその教会はある。

小高い丘に差し掛かり、その教会は見えてきた。


↑恐ろしく白く美しいサン・ミケル教会

丁度シエスタ(午後のお昼寝タイムみたいなもんか?)の時間帯だったため、辺りには誰もいない。僕らふたりだけ。

↑イビサのシエスタ。物音ひとつしない。

誰もいないどこまでも真っ白な教会、透き通った青い空、近年味わったことのない静けさ。
まるで夢を見ているかのような穏やかな時間。

ホントに感動しました。写真でどこまで伝えることができるかな。

それにしてもバイクの旅はかなり良かった。異国の地での運転はいつもの数倍疲れるけど、やっておいて損はないと思う。ちょっと寄り道なんてこと普通じゃできないしね。

夜はスペイン最後の夜ということで再度パエリアを食べに、イビサ城下の集落へ。
ここにもレストランはあり、結構繁盛している。

↑スペインと言えばシーフードパエリアか。

イビサの独特な夜景を眺めながらスペイン最後の食事を。ワインなんか飲んだりして。これも最高に美味しかった。

ホテルに帰る頃は辺りは薄暗くなっていた。
イビサの真っ白な建物がおしゃれな街灯に照らされ、幻想的な景観になっている。
ここに住んでる人たちは毎日これを眺めているんだろうなと、なんか不思議な気持ちになった。


↑幻想的な夜のイビサ

いい気分でホテルに帰る僕ら。今日も最高の一日だった。部屋に戻り、シャワーを浴びる。一日の疲れがどっと来る。。

綺麗だった風景、建物が脳裏によみがえってくる。

新婚旅行も今日で半分過ぎた。あっという間だった。こんなに楽しくていいのだろうか?
ベットに横になる僕。K子はシャワーを浴びにいった。

おっと忘れるところだった。夫婦の夜はこれからだ。今日こそは・・・・

今度は僕が寝ちゃいました。

かみ合わない僕ら。

August 21, 2003

新婚旅行物語 第六章 イビサ編1  [ 新婚旅行物語 ]
新婚旅行物語 第六章 イビサ編1 「カフェデルマーは何処?」
イビサに着いた事を書く前に少しイビサについて書いておかなくてはなるまい。

この島の歴史は1600年頃に遡る。ローマ時代からの城壁都市の名残がいまだ残っているイビサは当時は交易で栄え、アフリカとヨーロッパを結ぶ密輸の中継地として有名だったという。その頃の城壁は今でもイビサタウンにシンボルとして残っており、その城下町にはその頃の建物に人々が住みつづけている。
もう一つ、現在のイビサを語るのに欠かせない、歴史がある。60年代に「ヒッピーの島」として世界的に有名になった歴史だ。
ヨーロッパ中から自由を求めて若者たちが集まり、彼らは独自の文化を作り、島は発展を遂げた。ヒッピーの定義は今一よくわからないのだが、その当時の新しいムーブメントであり、新しい文化をもたらした人種であることはいろんなサブカルチャーの影響からもおのずとわかるというものだ。
世界各国からヒトが集まったおかげで多くの文化が入り混じって、その融合から新しいサブカルチャーが生まれた。

以上の二つの歴史から、イビサは新旧入り混じった、独特の雰囲気をかもし出している。街中にはブティックやクラブが立並び、郊外に出ると、ギリシャ風の別荘地が並び、古い城壁の街も同居する不思議な街だ。

第一章でも触れたとおり、僕は何の知識もなく、「cafe del mar」という素晴らしいカフェが存在するらしい、という情報のみでプランニングツアーのK野さん(大名に新オフィス移転決定!しかし年齢不詳)に

イビサに行きたいしー☆

と子ギャルよろしくだだをこねただけだった。

イビサ到着は午後2時頃。バルセロナ空港からほんの40分くらい。
僕はやるせない気持ちで飛行機を降り立った。

なぜなら!それは旅行の数週間前に遡るのだ。

-------数週間前----------------

-------回想シーン-------
ayu「あー、イビサ楽しみだなー」←遠くを見つめている。
K子「あ、そうそう。ネットで調べたんだけど、イビサ島は9月末でシーズンオフになるらしいよ。」
ayu「はーん。そうやって俺のやる気を無くそうと言う魂胆だな?その手には乗らんぞ!俺は疑い深いんだ。」
K子「だってー。見たもん。海外サイトだったからよく分からなかったけど、確かにOFFだってさ。あはは(笑

ayu「何言ってんだ。俺がどれだけ楽しみにしてたか・・・・」
←googleにて検索中

そこには無常にもOFFの文字が・・・

ayu「お、おふーーーー?!」

K子「だから言ったでしょ?オフだって(笑」

ayu「てめえなに笑ってんだよ。俺はな、俺はなー!・・・」

あとで聞いた話だが、イビサは9月末でシーズンオフに突入する。世界中からヒトが集まるイビサもシーズンオフには島を離れるひともいるらしい。知らんかった。

という訳であの夕日の中の最高なシーンは味わえない悲しさから、ちょっと微妙な気持ちでイビサに降り立った僕ら。せめてシーズンオフとはいえ、ちょっとだけでも、雰囲気だけでも、せめて味わおうという気持ちを内に秘め、ホテルにチェックインした。ホテルはこの旅最低ランクの一つ星。ホテルマンは気さくなお兄さんだ。かなりカンジがいい。
チェックインを済ませ、スーツケースを持ってエレベータに乗ろうとする。
エレベータはさすがに一つ星、かなりお歳を召してらっしゃる。

ayu「このエレベータ、古いねぇ」
K子「途中で止まったりして」
ayu「何をバカなこと・・・」


ガタン


僕らの言葉を聞いているのかいないのか、エレベータは今にも落ちそうな勢いで停止し、照明が消えた。

二人「た、たすけてくださいー!!」←めっちゃ日本語

数分後(かなり怖かった)のんびりとホテルマンが道具を使って助けてくれた。

ホテルマン「・・・(ニヤリ)」

何か言えっつーの

ホテルがあるイビサタウンはイビサの中心部だ。空港で感じた田舎な雰囲気とは違い、シーズンオフとはいえ、なかなか人通りも多く、だんだん楽しい気持ちになってきた。日本でいうと、沖縄のような雰囲気を感じたのは僕だけだろうか?海もすぐ近くだし、観光地独特ののんびりしたカンジがとても気持ちよかった。

まず、僕らはホテルの隣にある観光案内所に行ってみる事にした。

ayu「ま、マップ、プリーズ」

ここは何度も言うがスペイン国だ。僕はカタコトの、単語だけ、しかも英単語のみでしか話せないのは何とも無能な失礼な日本人だった。

お姉さん「▲×○○$%%!」

お姉さんはしっかりとイビサ島の観光地図を分けてくれた。よかった。僕は次にココに来た最大の目的を彼女に尋ねた。

ayu「イズ・カフェデルマ・オープン?」
お姉さん「・・・・・(笑顔)」
ayu「イズ・カフェデルマー・オープン?」
お姉さん「=*○$▲×○%%!」
ayu「あ?」
K子「開いてるってさ・・」
ayu「分かったの。今の?」
K子「なんとなくね。」
ayu「俺全然わからんかった・・・・・・」

cafe del marは開いている!

その後お姉さんにバスの乗り場をなんとか聞いてバスに乗ってみることに。
サン・アントニという街にあるのは事前に調査済だった。四苦八苦しながらバスのチケットを購入。やっとサンアントニに着いたのはもう日も暮れそうな時間帯だった。
お姉さんからもらった観光地図を片手にcafe del marを目指す。バス停からそんなに遠くはないはず。あせる僕。サンセットには間に合いたい。

ayu「あった!」


海辺にぼんやりと明かりが着いたカフェがやっと表れたときは、なんとか日も暮れる前だった。
お客さんは結構いて、僕らは一番海に近い席に座り飲み物をオーダーした。
残念ながら、シーズンオフだからだろうか、DJはいなかったが、CDかなんかで結構大きな音でチルアウト系の音楽が流れている。音量はヴァイナルカフェくらいか。

波の音がぼんやりと聞こえ、テーブルの対面に座った相手の声も聞こえるくらいの気持ちのいい音量。乾杯をした僕らは何も喋らず、ただ音楽に耳を傾けながら海を見ていた。

ayu「き、キモチいい。。」


いつしかビールは3本目に突入。丁度その頃日も沈み、音楽は佳境に向かう。DJがいなくても音の演出は素晴らしかった。

是非シーズン中に行きたいと思った。日が沈み、辺りが暗くなった頃、炎のパフォーマンスがあり、盛り上がりも最高潮。
夕食は何も食べてないにもかかわらず、満腹感でいっぱいで僕らはcafe del marをあとにした。

ホテルに着く頃には疲労感からか、あまり食欲がなかった僕らは、日本から持ってきていた日本が誇る最高にして最強のの食品「焼きそばUFO」を食べようと、お湯をフロントでもらい、もどかしい3分を待っていた。これは海外旅行経験の豊富な友人Oから聞いて持ってきていた。疲れたときには食べ慣れたもの。これに限る。

3分待つ間、僕は今日の新婚旅行らしいロマンチックな出来事に満足していた。それでいてUFOとは味気ないが、夜はこれからだ。そうだ、たった今思い出した。僕らは新婚だったのだ!

ayu「今日は楽しかったね。cafe del mar開いてて良かったよ。もう最高の気分だった。後で下のバーにもう一杯飲みに行きたいきぶん・・・」


ってもう寝たのかよ!


のびのびになった焼きそばUFOは誰にも食べられることなく夜を明かしたのであった。


新婚旅行物語 第五章 バルセロナ編4  [ 新婚旅行物語 ]
新婚旅行物語 第五章 バルセロナ編4 「ガウディの偉大なるデザイン」
ガウディの興奮も冷めやらぬまま夕食へ。やっぱりスペインと言えば「パエリア」だ。

どこの店が美味しいのか、もちろん分かるはずも無く、僕らは適当にお客さんの多そうな店に入ることに。事前にレストランなど僕らが調べるはずもなく、常に行き当 たりばったりだった。バルセロナではたいていのカフェやレストランは表にテーブルを出しているのでメニューを事前に見ることができて便利だ。ただ、

メニューを見てもなんの料理かさっぱりわからん。

大体のメニューはカテゴリ分けされていることに気づいた後は、なんとなく「魚」とか「肉」とかはわかるのだが、値段を見て適当に注文するしかなく、非常に悔しい思いをした。
どうしてもシーフードパエリアが食べたい僕は食い入るようにメニューを眺めていた。

ayu「これかなぁ?いや、これかなぁ?・・・・」
K子「ハヤクー」
ayu「ちょっと待ってよ。今探してるんだから。」
K子「もしかして優柔不断がでましたか?」
ayu「あ、見つかったこれだろ。で、何にしたの?」
K子「ワタシおなか一杯だから水だけでいいー」


キミはまたおかしの食べすぎですか?


ayu「あ、そう。じゃ俺のシーフードパエリアをちょっとわけてあげよう」
K子「いらない」

神様、ナゼボクラハイツモアワナイノデスカ?

ポケット辞書を片手に「イカ」「アサリ」というコトバをみつけ、何とかシーフードパエリアとビール(セルベッツァと発音)を注文する僕。K子はミネラルウォーター(ガス抜き)を注文。こっちの水はガス入りというそれはそれはマズイ炭酸入りミネラルウォーターが好んで飲まれているようだ。ヨーロッパよくわからん。

まず生ビールが運ばれてきた。でかい。日本の生ビールの1.5はあろうかという大きさ。それで3ユーロとは安い。ミネラルウォーターは1ユーロ以下だ。こっちのレストランは飲み物が安い。ビールをぐいぐい飲む。
うまいがやはりアサヒのスーパードライは世界一うまいビールであることを実感する。

しばらくして、パエリア登場。
得意げに店のオヤジがもってきたパエリアは妙に赤かった。

それってトマトソースなんじゃないですか?

ayu「これってシーフード?」
K子「違うね。」

びびっている僕はそのままやり過ごそうとしたが、これではNOと言えない日本
人になってしまう。
僕は辞書を片手に料理が違うことを身振りを交えて伝えた。

オヤジ「OK。△○××▲*※#$$」

意外とあっさり引取ってくれ、どうやらすぐ作り直してくれるようだ。
異常にのどが渇きビールを飲む。

ayu「一仕事終えた後のビールは格別だね」

K子「目が泳いでたよ。プッ。

ayu「・・・・・」

出てきたシーフードパエリアは格別の味だった。
大満足の夕食も無事終わり、バルセロナの夜はふけていく。僕らはホテルに戻った。

シャワーを浴びて部屋に戻るとK子がいない。

ayu「あれ?どこにいったかな?」

なにやらベランダの方からゴソゴソと音がする。僕はベランダへの窓を開けてみた。ベランダのテーブルに腰掛けてポテチを食らうK子が。

ayu「だからあのときちゃんと食っとけって言ったのに・・・」

K子「プリングルスオイシー!

明日は早起きして残りの観光をしなくてはならない。半日観光で少しだけ行った「グエル公園」、ガウディのマンション「カサ・バトリョ」等を回る予定だ。ガイドブックを見て明日の予定を立てる。

明日の用意をする。早起きは苦手だから早く寝ないと。

しかし、この旅は新婚旅行である。

となりにいるのは嫁さんである。大人の時間を過ごすのが世の常というもの。夫婦の時間はこれからだ。
僕はK子の方を何気なく振り返った。


もう寝たのかよ!


僕は眠れない夜を過ごした。ブックオフで100円で買った村上春樹の小説「ねじまき鳥クロニクル」を3冊持ってきていたのでそれを読んで過ごすことにした。
なんかシュールな小説だ。

------------------
次の日。今日もいい天気だ。朝から地下鉄に乗ってガウディの作った公園「グエル公園」に着いた。地下鉄は安くていい。ちょっとまだ怖いけど。


グエル公園の門の前に立つと、お菓子の家のような建物がふたつ。かわいい。 これはもしやガウディの家なのでは?
となりで日本人ガイドの声が聞こえる。ガイドのいない僕らは聞き耳をたててみることにした。

ガイド「えーと、この2つの建物は使用人の家ですー・・・・」


これが使用人の家かよ!

凄すぎる。奥に鍾乳洞風の空間があった。そこには元はなにかがあったのだろうか?

ガイド「えーとあれはー、馬車の駐車場です。」


駐車場かよ!しかも馬かよ!


とにかくグエル公園。遊び心満載の、理にかなったデザイン満載の素晴らしい公園だった。いたるところが廃材で出来ており、割れたお茶碗等で出来たタイル模様のデザインがところどころにあり、僕は黒板五郎(@北の国から)を思い出さずにはいられなかった。

ayu「おいら・・金ねえからゴミ漁って家建てたのさぁ(田中邦衛ものまね)」
K「とうさんみっともないからヤメテ!サムイよ!(蛍のものまね)」
ayu「寒いかぁい。寒いなら、おいら。。暖めてあげるよ。。」←近づく

K「ヤメロ」

ayu「失礼しました・・・」


また来てよかった。公園の象徴のトカゲちゃんにも会えたし、ギリシャ風の柱が立った広場はギターの演奏が行われており、その独特な建築方法のせいか、ものすごく音の響きが良かったし、メイン広場である微妙に波打ったベンチがある広場は排水も考えられており、下にあるトカゲちゃんの口に雨水が排水されるといった仕組みなど、とても何十年も前にデザインされたものとは思えなかった。色あせないデザインとはこういうもののことを言うんだろうなと、二人で納得。

それは次の「カサ・バトリョ」にも顕著だった。
海をイメージした外観(全然海に見えないけど)もさることながら、このマンション、階段から窓枠、洗面所、扉にいたるまで全て素晴らしいデザインだった。

こんな家に住みたいとマジで思った。写真撮影が禁止な為、写真に残せなかったのが非常に残念だったけど、その強烈なガウディのデザインはそれを見るためにもう一度バルセロナの地を踏むといってもおかしくない程の素晴らしさだった。

バルセロナはマジでオススメの土地だと思う。2泊もあれば大体回れるのでヨーロッパへ行くヒトがいれば、是非立ち寄ることをオススメする。
雑貨屋さんも、洋服屋さんもかわいいお店が沢山だった。特にVINCON(なんでも創業1941年の由緒正しいお店らしい。)、日本にもああいうお店があったらなぁ。福岡には少なくともないなぁ。

その日の夕方、後ろ髪をひかれる想いをしながら次の街、イビサに向うことに。
バルセロナ空港から飛行機で40分程の小島であるイビサ。一体どんな街なのであろうか?
とりあえず、目的は「cafe del mar」。世界一有名なカフェで夕日を眺めながら音楽を聴きながら酒を飲みたい。

僕らは期待を胸に飛行機へと乗り込んだ。

しかし、この後、とんでもない衝撃が彼らを襲うとはーーー!
(ガチンコ風)


新婚旅行物語 第四章 バルセロナ編3  [ 新婚旅行物語 ]
新婚旅行物語 第四章 バルセロナ編3 「主任建築家外尾氏との出会い」
それはとある一本のテレビ番組から始まった。

タイトルは不明、出演者は世界の北野武、所ジョージ。武が行ってみたいところに出かけていくという趣の番組だった。

色々な所に出かけていく北野武、その番組の中で最後に出かけていったのはバルセロナの街。

北野武はそこで、外尾悦郎なる人と出会う。

この人こそ、かのガウディのサグラダファミリア聖堂の主任彫刻家、数年前のネスカフェのCMに出ていたので記憶にも新しい。

彼は元は日本の美術の先生で、たまたまバルセロナを旅行中、サグラダファミリアに出会った。彼はガウディが創造した建築に感銘を受けた。
彼はそのときにいた建築家に言った。

外尾「俺は結構できるヤツだから彫刻やらせてよん」

建築家 「あ?テメー日本人だろ?ふざけんなよ」

外尾「そんなことを言わずに、彫らせろっつーの。」

建築家「ちっ・・・じゃ、今からテストしてやろう。。どうせだめだろうな。。」

建築家も外尾氏はこんなことは言わなかったかも知れない。でもこれに近い雰囲気があったように思う。
外尾氏は彫刻を彫った。自分の全てをさらけ出す作品を。その出来は素晴らしい作品だったらしい。

建築家「明日から来てくれ。」

つうか早いよ。コンビニのバイトじゃないんだから。

その外尾氏ももうバルセロナで生活して20年以上。今やサグラダファミリア聖堂の主任彫刻家。世界で活躍する日本人は多いけれども、彼はそのトップに君臨するのではないだろうか?

番組で武は言う。

「何が凄いって、宗教的な壮大な建築物に日本人が棟梁として携わるってことは金閣寺を外国人が建ててるようなもんだからな。」

いやマジでそのとおり。もし、奈良の大仏を外国人が作ってたら、偏見の塊の日本人はきっと言うだろう。

「オマエ分かって作ってんのかよ!」と。

番組で、外尾さんのエピソードは続く。バルセロナでの収録の後、外尾さんはタケシと飲みに行ったそうな。

「外尾さんは言うんだよ。朝起きて、一日一生懸命彫刻して、夜になったら家に帰ってワインを飲んで飯を食ってさ、そして寝て、朝起きてまた仕事に出かける。それが幸せだなあって思うわけよってね。完成するのが目的じゃなくてそこで働けるってのが幸せだと。いい話だと思わない?」


マジ感動です。

そこまで思わせるサグラダファミリア、いやガウディを体験したい。その一心でバルセロナに、サグラダファミリアにのぞんだ僕らだった。

サグラダファミリアの凄さはビデオの数百倍だった。

圧巻だった。文章力のつたない僕の表現力では表すことができない。


とにかく、彫刻のひとつひとつ、建物のひとつひとつに威圧されているような、そんな気分にさせられた。これが完成されるのは100年後だそうだ。
世界中からの寄付のみで成り立っているこの建築は、もっと工期を短縮できないものなのだろうか?完成を見ることができないのがとても残念だ。


TVなどでみるサグラダファミリアは外側だけ。内側は観光客でごったがえしているものの、全く手付かずの状態。毎日毎日少しずつ前進しているのだろうな。


どれだけ見ても少しも飽きない。色んな角度から見ると全く違うものに見えたりもする。僕らは塔のてっぺんまで上ったり、ガウディのお墓を見たり、作業場を見たりして堪能した。

すると作業場の方を見ていた僕はひげ面の東洋人のオヤジが目に入った。

ayu「あれは・・・外尾さんでは?・・・」
K「ホント?あれそうなの?」
ayu「いや間違いない。あれは外尾さんだ。結構小さいヒトなんだね。写真撮っとこ。」

帰ったら自慢してやろうと、写真に収める僕。かなり満足げだ。

K「ホントかなー。」
ayu「俺の目に狂いは無い。」

僕らは感動のサグラダファミリアを後にしようとした。

・・とそのときピンクのポロシャツを着た大男が僕の前に立ちはだかった。

ayu「そ、そと・・・」

紛れも無い、TVでみた外尾さんがいた。今まさに敷地の外にでかけていくようだ。子分をつれて。

K「さっきのは全然ちがうじゃねぇか。」

ayu「今はそんなことを言い合っているヒマはない!」

リアル外尾さんはどんどん行ってしまう。

K「写真撮ってもらおうよ。」
ayu「まかしておけ」




K「はやくしてよー。(小声)」
ayu「あ、いや・・ちょっと・・・」
K「あ、もしかしてびびってんの?(笑」

きみはひとごとだね。

K「びびっております。あははははー」

Kはのんきに小心者の僕をビデオ撮影している。くそー。

ayu「あの、す、すみません。そ、外尾さんですか?」

僕は恐る恐る声をかけてみた。

外尾「あぁ、そうだけど。」
ayu「コ、コンニチハ。シャシンヲトッテイタダキタイノデスガ。」

ガチガチ、である。なにせ相手は世界の外尾だ。

外尾「ああ、いいですよ。どっちをバックに?」

ayu「あ、じゃああれを。。。」
外尾「あれは僕の建築じゃないからあっちにしよう。はっはっは(笑」


いかーん。なんて失礼なコトを。


外尾さんは僕らみたいなミーハー野郎でも笑顔で写真撮影に応じてくれた。

外尾「良い旅を!」

そういって握手してくれた外尾さんの手は死ぬほど大きくてぶ厚くて、さすが偉業を今まさに行っているカンジがして、なんか感動してしまった。

二人「頑張ってください!」

僕らは呆然と立ち尽くしてしまった。
凄いヒトと会ったときには何かオーラのようなものを感じるという。

まさに外尾さんにはバリッバリのオーラが漂っていた。ピンクのポロシャツもかっこよく見えた。。。。


次なる目標はこれまたガウディの建物「カサ・ミラ」だ。マンション型の建物。ガイドブックにも必ず載っているオシャレ建築物だ。

サグラダファミリアから歩いていくことに。バルセロナの街は歩くだけでも楽しい。時折、ガウディが作ったらしいベンチや街灯がとってもおしゃれだ。

「カサ・ミラ」も近づいてきたころ、ふとショウウィンドウに目をやった。キッチン用品がきれいに並べられ、食卓をつくってあった。 あまりのオシャレさにはいってみた。

二人は雑貨屋さんが大好きである。ここは後でわかったのだが
VINCON という店で、大好きなコンランショップと東急ハンズを足して2で割ったようなナイスショップだった。

K「このお皿かわいいー。買っていい?」

ayu「日本で買いなさい」


K「このミキサーは?前からほしかったんだ。もう買うね。」


ayu「いやだから日本で買いなさい」


ayu「あ、この照明かわいいね。ウチに置いたらいい間接照明になりそ。もう買う。」


K「いらねーよ!」


カサ・ミラそっちのけで、ショッピングにいそしむ二人。これも海外旅行の醍醐味か?(笑
バルセロナへ行った方は是非ここへ立ち寄ってみてください。すんばらしいです。

もちろん、カサ・ミラ最高でした。
ちょうどドーナツ型に吹き抜けがあるマンション。屋上は庭園のようになっており、ガウディデザインの煙突(これまたカワイイ)がいたるところから突出しており、なにかおとぎの国に来てしまったよう。
カサミラの部屋の中も公開されており、これまた何十年も前の建物とは思えない素晴らしいツクリ。決して広くはないが、広く見えてしまうのはガウディ・マジックか。

とにかく初日からこんなに飛ばしていいのかというくらい充実した一日だった。二日目は残りのガウディ建築を堪能すべく。明日にそなえるふたりだった。。


新婚旅行物語 第三章 バルセロナ編2  [ 新婚旅行物語 ]
新婚旅行物語 第三章 バルセロナ編2 「ガウディはやっぱり凄かった」
2日目の朝7:30。けたたましく鳴る目覚し時計で目が覚める。

眠い。そしてまたもK子が騒がしい。

K子「今日は2日目。バルセロナ観光です。今から朝食を食・・・」


キミは朝から誰と話しているのかな?

ビデオに向かって旅の記録を撮っているところだった。相変わらずのこのテンションの違い。
しかし、バルセロナは朝が遅く、7:30になっても外はまだ薄暗い。そして寒い。
ベランダに出て何気なく外を見ると、昨日は見えなかったグエル邸の屋上が・・・

か、かわいい。

間近で見るガウディの建築物はとてもカラフルでまるでお菓子の国さながら。他の建物から完全に浮いて、そこだけ別世界のように感じる。いつのまにかテンションが高くなってくる僕。なんて分かりやすい。。。

ホテル「ガウディ」の朝食はバイキング方式だった。とてもパンがうまい。そしてコーヒーもめちゃうまい。
専用のサーバーから出てくる少しあわ立ったコーヒー。あれは自宅ではできないものなのだろうか?

この日は半日観光(バルセロナを駆け足で回ってくれるらしい)を旅行会社にオーダーしていたので、その待ち合わせの場所、「カテドラル」まで歩いていくことになった。結構早めに出発したため、うろうろしながら目的地まで行くことに。

平日だったため、出勤の人たちがあわただしく歩いている。その横で

朝っぱらからカメラを首に下げた東洋人

はかなり異様に見えたことだろう。しかもその辺の町並みをバシバシ撮影する様はまさに

ちょっと頭のネジがずれている

と思われてもおかしくないであろう。そんな日本人もあまりいなかったし。
僕はバックパッカーさながらの大きめのリュックを背負い、首からカメラ。K子は首から小さいといっても結構でかいハンディカム。そんな旅行者丸出しの出で立ちだ。もちろん時計は日本の時計代表、

Gショックだ。

そんな貧乏くさい格好をしていったので振り向く人はいても、僕らからなにかを盗んでやろうと思う人はいなかったに違いない。
朝のランブラス通りを歩く、カフェや屋台の雑貨屋以外は閉まっている。それぞれのカフェでは店の前にテーブルを出しており、みんなそこで朝食をとっている。
店の中よりも外が埋まっているのは日本ではあまり見かけない風景だ。

通りすがりの朝市もひとまわりしてみた。日本ではおそらくグラム1500円くらいしそうなチーズがでっかく量り売りされていたり、色とりどりの八百屋さんや食いきれないくらいの量で売られている肉屋、さっき朝食を食べたばかりだというのにもう食べることを考えているいやしい二人。

K子「チーズ買っていい?」
ayu「ガマンしなさい!」
K子「だって美味しそうだよ」
ayu「今から待ち合わせだから。もう行かないと。でも美味そうだね・・・」

K子は間食王だ。すぐに目先の食べ物に目がくらんで口に入れてしまう。
そして肝心の食事のときにはおなか一杯だ。

小学生かキミは。

ここで食べてはいけない。

ayu「やっぱダメ。」

危うく騙されるところだった。

地下鉄の出口から沢山の人が出てくる。おっちゃんが号外を配るように人々に新聞を配っていた。

どうやらバルセロナは新聞はタダらしい。

僕はどきどきしながらタダの新聞をもらってみようとおっちゃんに近づいてみる。

おっちゃん「(ニヤリ。)」

僕に新聞を渡しながらおっちゃんは蔑むような目で僕を見て笑った。それは

失笑そのもの。

その「ニヤリ」には

「キミどうせ読めないんでしょ?」

が含まれていたに違いない。あぁどうせ読めないですよ。


K子「(ニヤリ。)」


キミまで・・・・・


そんなことを繰り返しながら、ふらふら路地に入り写真をバシバシ撮りながら、「カテドラル」到着。直訳すると「聖堂」。大きな教会といったところか。
僕は宗教的なことは全くの無知だがそんなものを抜きにしても凄い幻想的な室内。外観もさることながらいくつもの像が立ち並び、淡い光が差し込む室内はコトバをなくす。

写真撮影禁止の札がなかったため、恐る恐るビデオを回すK子

すると背後から大きな音が。

ウィーーーーーン。


万引きが見つかった中学生のようにビクっとするK子。

祭壇のほうを見るとおばちゃんが掃除をしている。

K子「掃除してんじゃねーよ。」

日本語でのツッコミ。言葉がわからないと強気だ。
よかったね。怒られなくて。(笑

待ち合わせの場所へ来たのは、日本語が上手いのか上手くないのかわからない、横浜に住んでたというスペイン人の「ザビエル」さんだった。
日本人向けの半日観光ということで、他にも2組の女性グループと同行することに。
本来ならば女性ばかりというのはかなりワクワクなのだが、Kの目が妖しく光るのを僕は見逃さなかった。

ザビエルさんが一通り説明しながらバルセロナ名所をマイクロバスで回るのだが、このザビエルさんの発音は少々聞き取りにくい。結構ツライ。日本語って難しそう。

ザビエル「ボクハヨコハマニスンダコトガアリマスー。ニクマンダイスキデスー。」
一同「・・・・・」
ザビエル「ミナサンイマカラモンジュウィックノオカニイテミマスー。コノオカはー・・・」

聞いてるだけで疲労感を覚える。ときどき、僕らに質問をふりながらガイドを進めるザビエルさんはものすごく優しく良いガイドぶりだった。時折見せるダジャレがおちゃめだ。
ただ日本語が下手なのを除いて・・・

モンジュウィックの丘の素晴らしい景色を眺めながらザビエルさんの説明は続く。
隣を見ると、ビデオカメラを構えたK子が一人でビデオに向かって解説を入れながら風景をとっている。

キミ少しは話を聞ききなさいよ。(怒

その後、ぐるりと市内観光をした後、いよいよサグラダファミリアへと到着した。
随分前からその姿は見ることが出来ていたのだが、改めて間近で見るとその驚異的なまでの壮大さ、緻密さにはもう圧倒するしかない。

そこで二人が目にしたものは―――――

何の前触れも無く次回へ続くのであった・・・・


新婚旅行物語 第二章 バルセロナ編1  [ 新婚旅行物語 ]
新婚旅行物語 第二章 バルセロナ編1 「出発!そしてバルセロナへ到着」
初日。成田に向かうため、福岡空港へ。 初めてのヨーロッパへの旅を前に心は躍り、思わずほころぶ笑顔がなんとも幸せな・・・

朝早すぎだっつーの。

福岡→成田 間は便が少なく、朝一番のフライトしかない為、5:30起きで旅行に望むことになった。否が応でも心は沈む。

K子は夜は小学生のようにめっぽう苦手だが朝は元気一杯だ。人の眠そうな顔をビデオに収めている。

K子「おはようございます!あ、眠そうですねえ。気分はいかがですかぁ」


た、頼むから朝からその陽気な雰囲気はやめてくれ。

早起きは体に悪いのではないかとの錯覚を覚える。だめだ、全く目が覚めない。
いや、早起きは体に悪いはず。まじで。

朝一のJAL便に乗り込む。眠い目をこすりながらチケットのとおりの席に座る。

K「ちょっとこれ何か広くない?」
ayu「エグゼクティブシートだ・・・・なぜ?」
K「受付の姉ちゃんが間違えたんじゃない?やったね。」

両肘をどかっとおいても余りある広い座席。足をめいっぱい伸ばしてもまだ届かぬ前後の空間。大きすぎるともいえる肘掛から飛び出す映画・ゲームのできる液晶画面。

K「きゃっほーうぅぅ!」

ayu「これこれ。子供じゃないんだから。騒ぐほどのことじゃ・・・」

しかし、いつも横目で見ていた広々としたシート。間違い(?)とは言え、もう二度とすわることはないであろうこのシート。僕は気がつけば、眠気など微塵もなく、ただエグゼクティブなフライトを楽しんでいた。

二人「きゃっほーうぅぅ!」

朝っぱらから大はしゃぎの超ハイテンション。一体国内線でこんなに盛り上がっていいのだろうか・・・
成田に着く頃にはコンソメスープをちゃっかり2杯もお代わりをし、臨戦体制で国際線ターミナルへと向かう二人であった。

早速迷子になりながら国際線ターミナルへ到着した僕らは腹ごしらえをすることに。

ayu「最後の日本の食事になるかもしれないから日本食にしよう。」
K「そ、そうだね・・・」

いわば最後の晩餐か。ぼくらは普段なら選択することの無い、「てんぷら・ざるそば御膳(1800円也!)」をチョイスした。

二人「うまい。。。」

いくらなんでも国内で楽しみすぎである。なんといってもまだ初日なのにこのテンションは・・・

二人「きゃっほーーー!」

まさに「旅の恥は掻き捨て」を地でいくようなテンション。思い出す度に顔が赤くなります。

両替も、入国審査もあっさりと済ませ、ついに日本を旅立つ二人。

飛行機はJALだったのでちょっと安心。しかも席はエグゼクティブ程広くはないが、液晶テレビが各シートに装備されているのに驚いた。
退屈したときはゲームもできる高性能さ。映画も9デイズ、インソムニア、ピンポンと、最新映画が目白押し。
片道12時間の長時間のフライトがあっという間だった。

この3つの映画は

ピンポン
話題の窪塚くんの演技が最高。松本大洋のイメージにかなり近づいており、大満足。

9デイズ
ハリウッド映画ならではのハラハラドキドキがふんだんに盛り込まれており、結構面白かった。2回も見たくないけど。

インソムニア
結構好きだった「メメント」の監督の映画だけに期待大。
しかもアルパチーノ、ロビンウィリアムズ大御所の競演とあって一番気になっていた。が、最後まで盛り上がらないサスペンスだった。予告と全く違うのには驚かされた。
ただひたすら眠そうなアルパチーノが出てくる、似合わないシリアスなロビンウィリアムズの映画でした。見る価値無し。

そんなこんなで少し眠ったと思ったらローマに到着。

バルセロナへ行くまでの乗り換えのため、ローマは空港のみ。待ち時間が2時間程あるので、免税店でブラブラすることに。
ココで僕は、免税店で初の買い物をしようと試みた。免税と言えばタバコだ。
ラッキーストライクの1カートンがなんと16ユーロ。日本円にすると2000円弱だ。10日間もあることだし、とりあえず、買ってみることに。品物を持ってレジへ、初めての買い物で緊張感も高まる。
やや小太りのおばちゃんがしげしげと僕を見つめる。

(や、やばいなにかまずことでもあったのかも・・・)

早くも弱気になる僕。

おばちゃん「■△○×○△◆□・・・・」←理解不能
ayu「え?」
おばちゃん「■△○×○△◆□・・・・」

や、やばい。汗も吹き出る。どうしよう。と、おばちゃん英語で言い直してくれたらしく、なんとか「パスポート」、「チケット」が聞き取れた。
すぐさまそれらを提出する僕。もうガチガチだ。

おばちゃん「○×■○△◆△□!」
え?なんで怒るの?
おばちゃん「○×■○△◆△□!」

どうやら購入はだめらしい。身振り手振りで説明したが理解不能。撃沈。

最初の買い物失敗・・・・

あとで考えたのだが、バルセロナに向かう為、免税品は買えないのかもしれない。
ふと気が付くと隣でK子が笑っている。

K「失敗してやんのー(笑」

うるさいよ。ちっとは助けろっつーの。

しばらくして気づくとK子の様子がおかしい。

K「おなかすいたー。」
やばい。ヤツのおなかがすくと、一気に機嫌が悪くなるのだ。
ayu「あ、あそこにカフェが。大好きなパニーニが売ってるよ。」


K「パニーニー!」

まるでおもちゃ売り場でおもちゃをねだる子供のようである。

笑顔で応対するお姉ちゃんに愛想笑いをしながらまたもや緊張の買い物。
僕はパニーニを指差す。そしてコーヒーを注文する

ayu「デ、ディスワン。。コーヒー、トゥー。」(パニーニひとつとコーヒーを二つおくれ)
「OK」

や、やったのか?僕はガンダムに初めて乗ったアムロのような気分で自分に問い掛けた。

お姉ちゃん「■△◆□△○×○・・・・(笑」

無事パニーニが出てきた。しかし、コーヒーのカップは異常に小さい。これはエスプレッソか?
後で聞いた話によると、イタリアでは「コーヒー」とはエスプレッソのことらしい。全く勉強不足、である。
そんなことも知らない僕はちょっと憤慨しながら、勿論注文し直すことも出来ず、砂糖をたっぷり入れ、エスプレッソを飲んだ。苦。

ローマ空港を後にして、バルセロナまではアリタリア航空だ。小一時間で到着したので違う国に来た感覚は皆無であった。
もう既にローマで入国手続きは済ませてあったのでバルセロナでは手続きはいらないらしい。これも当日は全く分からず、フラフラしていたらなんとかたどり着いたまでだが。(笑

ところで、今回の旅行はK野さん(年齢不詳)との話合いで
「航空券+ホテル迄の送迎+ホテル宿泊」のツアーにした。
話を聞くところによると空港までの道のりや、ホテルでのチェックイン時にトラブルが多いそうだ。イタリア語はもちろん英語すらも満足に理解できない二人は迷わずこのプランを選択した。

バルセロナにやっと到着。のべ15時間もの移動時間。さすがにくたくたである。
まずは荷物をGETしなくては。
日本では荷物のチケットがないと荷物は持ち出せない仕組みになっているが、スペインというお国柄なのか、

他人の荷物撮り放題。

持ってるチケットは何のためにあるのだろうか?持ち逃げ自由。一瞬たりとも気が抜けないスペイン、恐るべし。
この辺からだんだん緊張感は高まる。治安が悪いことで有名なバルセロナ。ことの他K子は緊張してきた。

もちろんカバンのヒモは服の内側を通している。

荷物を無事取り、待ち合わせをしている出迎えのヒトを探す。

「ayuさんですか?こんばんは!」

ふと呼び止められて日本人だと気づいてほっとした。ローマからこっち、日本人がほとんどいないことにいささか不安だったのだ。
ほとんど僕らと年齢がかわらないと思われるお姉ちゃんだった。
一気に緊張が解ける。

K「よかったー。日本人の方で。もう心配で心配で。」
姉ちゃん「けっこう治安悪いですからねぇ。」

姉ちゃんはどうやらタクシーを拾ってホテルまで連れて行ってくれるようだ。

ayu「遅くにすみませんねぇ。こちらに住んでる方なんですか?」
姉ちゃん「そうなんですよー。もう2年くらいになります。」
ayu「なんでまたバルセロナに?やっぱガウディですか?」
姉ちゃん「いやー。(笑)スペイン人の彼氏がいるんですよー。その彼と知り合ったのはですね、イギリスで・・・・」

なれそめなんか誰も聞いてないし。しかも話長いよ。

姉ちゃんはさすがにスペイン人の彼がいるだけあってスペイン語は堪能だ。
日本人の友達は誰もいなさそうだったけど。

タクシーに乗ってホテルまで連れて行ってくれるのも安心だ。
しかし、降りるときになってなにやら姉ちゃんはもめだした。

姉ちゃん「■△◆□△○×○!」
運ちゃん「◆△△△□×○○■△!」
姉ちゃん「■△◆□△○×○!」
運ちゃん「◆△△△□×○○■△!」
姉ちゃん「・・・・・」

何度聞いてもさっぱりわからんが、どうやら姉ちゃんの負けのようだ。悔しそうだ。

ayu「どうしたんですか?」
姉ちゃん「おつりがないからって沢山とられちゃった・・・」

2年も住んでぼったくられてんじゃねーよ。

無事チェックインして部屋に着いたら、どっと疲れがでた。ホテルは「ガウディ」というちょっと胡散臭いホテルだが、ガウディの建てた「グエル邸」のすぐ隣にあり、部屋からあのかわいい独特の建物が一望できる。

K「スペインってコワイね・・・・」

外ではパトカーのサイレンがこれ見よがしに聞こえる。

ayu「そ、そうかな?・・・・」

しかし、明日は念願のガウディの建物が見れるということで、ガイドブックを見ながら段々盛り上がってきた。

ayu「ちょっとビールちゃんが飲みたくなってきたなぁ。」
K「あ?何言ってんの?バカ?」
ayu「ちょっと買いに行こうよー。近くにスーパーがあったよ。」

K「絶対ヤダ。一人で行って。

ayu「・・・・行ってきます。」

とは言ったものの、ちょっぴり不安。5ユーロ札一枚持って出陣することに。

ホテルの目の前に小さなスーパーがあったのであっさりビールは買うことができた。
ついでにK子にミネラルウォーターもプレゼント。ついでにK子が大好きなプリングルス(オニオン味)も。

K「どうだった?怖かった?」
ayu「全然。」←結構怖かった。
K「まじ!大丈夫なのかなー・・・」

そんな感じで風呂に入ってビールを飲み終わったのが午後11時。僕はいつの間にか慣れないベッドで熟睡していた。
どこでも寝れるっていうのも特技のひとつなのかもしれない。
ふと目が覚めてとなりを見ると高らかなイビキが・・・

寝ることに関してはのび太並だな・・・

そうやって一日目のバルセロナの夜はふけていくのだった。


新婚旅行物語 第一章 日本編  [ 新婚旅行物語 ]
新婚旅行物語 第一章 日本編 「大騒ぎのプロローグ」
結婚式の段取りも忙しい最中、K子が慌てて電話をかけてきた。

ayu
「どしたの?」

「新婚旅行どうする?」


ayu
「うーん。南米も行きたいし、エジプトもいいなぁ」

「あ?旅行といったらヨーロッパに決まってるじゃない?」

ayu
「ヨーロッパってキミさては、イタリア料理食べたいだけでしょ?日本でも食えるっつーの。」

もう一度いうてみぃワレ!

ayu
「何も言ってません。。。」

K「というわけで、イタリア旅行のパンフレットをたくさん貰ってきたので早めに決めようね。」

ayu「(というわけってどんな訳?もう貰ってきてるんじゃねーか。)・・わかりました」

そんなこんなでイタリア方面に決定した。それでいいのか?
週末パンフをみながら話し合うことに。


ayu「やっぱりイタリアといえばローマとかヴェネチアの古い建物が見たいなぁ。」


先日も友人がイタリアに行って来て写真を見せられたばっかりだった。とにかく街並みが美しく、そこに行くだけで別世界といった印象であった。

とにかく僕の周りではイタリアに行った友人が多く、沢山の写真を見ていた。南米も行きたかったが、イタリアも自然な流れだったのかもしれない。K子は興奮してパンフを眺めている。

K「はやくおいしいパスタ屋さんを見つけないと!」


ayu「もう食いもんかよ!


K「だってー」

ayu「どこに行くかも決めてないのにお店はないでしょ。」

あまりの嬉しさにかなりの先走り模様。この興奮状態のリミットを超えると彼女の体は自動的に発熱する仕組みになっている。やばい。

とにかく、旅行ガイドを本屋で購入し、行ったことがある友人にイタリアについて聞いてみることに。
候補に挙がったのは2ヶ月程前にイタリアとギリシャに行ったS夫妻とイタリア料理店で働くO夫妻(旦那Oは既に3回イタリアに行っている強者だ)

まずはOに電話だ。


ayu「今日集合ね。」
O「あぁいいよ。どうせ旅行のことでしょ?そろそろかかってくると思った」
ayu「な、なんでわかったの・・・」

続いてSに電話

S「いいよー。じゃ家に集合ね。飲み物買ってきてねん」
ayu「そんなこと言って奥さんに了解とらないと・・」
S「ウチは亭主関白だから大丈夫!」

ayu「そんなのウソってみんな知ってるよ。。。

とりあえず、頼れる旅行経験者は確保。集合までガイドを見ながら勉強勉強。
ローマはやっぱり外せない。イタリアといえばシチリアにも行きたい。シチリアといえば・・・・

ayu「グランブルーの崖のレストランでパスタ食いたくない?」


K「食いたい


聞くまでもなかったか。。

そう、映画を見たことがある人はすぐにわかると思うが、ジャンレノとロザンナアークェットがパスタを食べるシーンだ。「ママのパスタ以外をよそで食ったら殺される」のシーンだ。

あの最高のロケーションでイタリア料理を食べられるのはたまらないかも。

K子が即座に調べてきた。

どうやらシチリアのタオルミナというところらしい。こういう調査力は素晴らしい。他のことにそのパワーをつか・・・おっとやめておこう。

突然ふと僕の頭をよぎったことがあった。

cafe del marは確かイタリアじゃなかったっけ?

cafe del marというコンピレーションをなんとなく見つけて先日購入したばかりだった。このカフェは実在するカフェで・・・・早速ネットで検索。

イタリアではなかった。スペインのバレンシア沖にある、イビサ島にあるらしい。もちろんイビサが組み込まれたツアーなんかは皆無なのだが、とてもよさそう。

夕日の砂浜でDJが流すアンビエントな音楽を背に座ってお酒を飲む。

前からは、落ち着いた波の音。

そして、目を上げれば、沈みかけていく太陽。

その太陽に合わせて綺麗にフェードアウト。サンセットと共にビートが流れ出す。

そしてそれにつられお客の誰からとも無く発せられる拍手。。

・・ここに行かずしてどこにいくことができよう

行ったことのあるヒトは口を揃えて言う。


脳がとろけそうだ

と。

この時点で僕の頭のなかではスペイン-イタリアの旅行プランが徐々に描かれていた。

さて、 旅行に行くときに皆さんは何を決め手にするのだろうか?

・おいしい料理を食べたい
・美しい景色(建物)を見たい
・観光スポットで楽しみたい
・リゾートホテルでまったりとしたい

他にもいろいろあるとは思うが、だいたいカテゴリ分けするとこんなものか。
だが、日本人の悪しき風習が加わるともう一つのカテゴリが出現する。

海外のブランドを安く買いたい

これだ。確かに安いかもしれない。勿論買い物をするなとは言わない。
が、高い銭を払って旅行に行き、少しばかり日本より安い、しかしやっぱり高いブランド物を買うのに短い旅行の少ない時間を使うのはいかがなものか。

というわけで、今回の旅行では

一切の買い物禁止

を敢行すべく、Kに相談することに。

ayu「(長い説明)・・・というわけでね、買い物禁止にしようではないか。同志よ」

K「あ?(怒

ayu「いや、だからね、買い物をですね・・・」


K「もういっぺん言ってみぃ


ayu「買い物をするよりも景色を見たほうがよいのではないだろうかと・・・」


K「景色は見るよ。でも買い物もする。


ayu「あ、あぁそうですね。。。。」


あっさり負けてしまった。。(泣

そんなこんなで夜Sの家に行くことに。
S夫妻はツアーでイタリア-ギリシアを回ったそうな。

S「俺はやっぱりマキシマスだね。」

ayu「は?それ何?」

S「知らねーの?ローマといえばマキシマスでしょ。」


どうやら彼は映画「グラディエーター」のことを言っているらしい。
その映画見てないし、一体どこのことなんだ!

S「映画の舞台がコロッセオだから行く前に映画見といたほうがいいよぉ」

彼らはローマをマウンテンバイクで観光したらしい。
楽しそー。それ採用。

O夫妻はスペイン-イタリアの旅。彼らは全くのフリーツアーで行ったそうな。

O「俺らの旅はやっぱりF1だな。スペインGP。あのときはな・・・」

つうか全然参考にならないんですけど。

O「あぁ、あとはサッカー。ローマといえば俺達が言ったときは中田がいてね・・・・」


いや、そういうことじゃなくて。しかも中田いないし。


そんなこんなでまたもや飲みすぎて夜中の3時。や、やばい何も進展してない。


いつもこうです。(泣

次の日、プランニングツアー(http://www.tabisuki.jp/
に行ってみることに。
ここのK野さんはちょっとやり手だ。年齢不詳だが。
K野「一番安いプランで旅行を組んで見せます!」

年齢不詳だが頼もしい。

ayu「えっと、とりあえず決まってるのが、イタリアとスペインで10日間ってことなんですけど。イビサとシチリアには行きたいです。」

K野「わかりました。いくつかプランを練ってみますね。」

・・・・数日後K野さんから電話が

K野「10月12日のアリタリア航空がもう既にキャンセル待ちです。早く決めないとまずいですよ。」

この時点で8月の半ば、あせる気持ちで旅行のことを考え、再度K野さんに希望を言うことに。

1.イビサ島に行きたい(2泊)
2.シチリア(タオルミナ)に行きたい(2泊)
3.ローマに行きたい
4.ナポリに行きたい

以上の条件をK野さんに伝え再度組み直しをしてもらう。
すると、条件は網羅してはいるが、ほとんど毎朝6時起きの超ハードスケジュール。

つうか通常会社に行くときよりも早起きなんですけど。

ayu「そ、それはちょっとつらいですねぇ。」

K野「そうですか?でもそうしないと回れないですよ。」

ayu「うーん・・・もいちど考えてみます。」

まずい、時間がない。あーでもないこーでもないと二人で練り直す。

K「ワタシ会社ヒマだから考えてみたんだけど」

こういうときにヒマな仕事をしているK子は力強い。ヤツは

メールをしに会社に行っている

といっても過言ではないどこにでもいるOLだ。

なんとかできたプランはこんな感じだ。

1.着後バルセロナ泊
2.バルセロナ観光~夕方からイビサ島へ(イビサ泊)
3.イビサで終日
4.朝一でローマへ~着後ローマ観光(ローマ泊)
5.午前中ローマ観光~夕方からナポリへ(ナポリ泊)
6.午前中ナポリ観光~夕方からシチリアへ(シチリア泊)
7.終日シチリア
8.午前中シチリア観光~帰路

これで精一杯だった。二人は満身創痍でK野さんにメール、ついでにOにも報告することに。

ayu「どう?完璧でしょ?」

O「つうか、バルセロナ半日だけ?それはまずい。もしかしてサグラダファミリアだけ見とけばいいやなんて思ってない?」

二人「(図星)・・・・」

O「今日夜行くからビール用意しとけよ」


キミハイツモトツゼンデスネ・・・


そして夜、彼はおもむろに一本のビデオテープを取り出した。
そこには数年前にネスカフェのCMにも登場した外尾悦郎氏と日本が世界に誇る映画監督北野武との対談だった。

内容を書くのは省略するとして、そこにはガウディという天才建築家の魅力と、外尾氏のサグラダファミリアに賭ける想いと、バルセロナという街の魅力が満載であった。

友人Oの勝ち誇った笑顔が憎たらしい。

ayu「バルセロナ2泊決定

K「は、早すぎ。それはいいとしてどこを削るの?」

ayu「そりゃお前あれだ・・・・ナポリを削ろう」


K「ピ、ピザは?・・・ワタシのピザはー?!


ayu「ナポリのピザ・・・それも捨てがたいが・・・

よーし、とうさんピザカリフォルニアに注文しちゃうぞー(意味不明)

そんなわけで、ピザ発祥の地、魔女の宅急便のイメージともなった魅力的であろうナポリを泣く泣く断念。K野さんに速攻メール。

K野さんは思ったはずだ。

お前らイタリアスペインって言いたいだけとちゃうんか?と。アホかと。馬鹿か・・(以下略)

K野さんには随分迷惑かけちゃいました。年齢不詳だけど。

ともかく、こうして日程が決まった。
その後も順調に飛行機がとれなかったり、予定が変わったりで、日程は変わっていったが。(笑

1.着後バルセロナ泊
2.終日バルセロナ
3.午前中バルセロナ~夕方よりイビサへ
4.終日イビサ
5.朝一でローマへ~着後ローマ観光(ローマ泊)
5.午前中ローマ観光~夕方からシチリアへ(シチリア泊)
6.終日シチリア
7.朝一でローマへ~着後ローマ観光(ローマ泊)
8.午前中ローマ観光~帰路

飛行機の都合でローマがかなりないがしろになってしまったが、憧れのシチリアの岸壁のホテルにも泊まれるし、ほぼ完璧な日程となった。 次週旅行記は福岡空港から始まる。


そこではとんでもない事態がぁぁぁ!(ガチンコ風)