眠い。そしてまたもK子が騒がしい。
K子「今日は2日目。バルセロナ観光です。今から朝食を食・・・」
キミは朝から誰と話しているのかな?
ビデオに向かって旅の記録を撮っているところだった。相変わらずのこのテンションの違い。
しかし、バルセロナは朝が遅く、7:30になっても外はまだ薄暗い。そして寒い。
ベランダに出て何気なく外を見ると、昨日は見えなかったグエル邸の屋上が・・・
か、かわいい。
間近で見るガウディの建築物はとてもカラフルでまるでお菓子の国さながら。他の建物から完全に浮いて、そこだけ別世界のように感じる。いつのまにかテンションが高くなってくる僕。なんて分かりやすい。。。
ホテル「ガウディ」の朝食はバイキング方式だった。とてもパンがうまい。そしてコーヒーもめちゃうまい。
専用のサーバーから出てくる少しあわ立ったコーヒー。あれは自宅ではできないものなのだろうか?
この日は半日観光(バルセロナを駆け足で回ってくれるらしい)を旅行会社にオーダーしていたので、その待ち合わせの場所、「カテドラル」まで歩いていくことになった。結構早めに出発したため、うろうろしながら目的地まで行くことに。
平日だったため、出勤の人たちがあわただしく歩いている。その横で
朝っぱらからカメラを首に下げた東洋人
はかなり異様に見えたことだろう。しかもその辺の町並みをバシバシ撮影する様はまさに
ちょっと頭のネジがずれている
と思われてもおかしくないであろう。そんな日本人もあまりいなかったし。
僕はバックパッカーさながらの大きめのリュックを背負い、首からカメラ。K子は首から小さいといっても結構でかいハンディカム。そんな旅行者丸出しの出で立ちだ。もちろん時計は日本の時計代表、
Gショックだ。
そんな貧乏くさい格好をしていったので振り向く人はいても、僕らからなにかを盗んでやろうと思う人はいなかったに違いない。
朝のランブラス通りを歩く、カフェや屋台の雑貨屋以外は閉まっている。それぞれのカフェでは店の前にテーブルを出しており、みんなそこで朝食をとっている。
店の中よりも外が埋まっているのは日本ではあまり見かけない風景だ。
通りすがりの朝市もひとまわりしてみた。日本ではおそらくグラム1500円くらいしそうなチーズがでっかく量り売りされていたり、色とりどりの八百屋さんや食いきれないくらいの量で売られている肉屋、さっき朝食を食べたばかりだというのにもう食べることを考えているいやしい二人。
K子「チーズ買っていい?」
ayu「ガマンしなさい!」
K子「だって美味しそうだよ」
ayu「今から待ち合わせだから。もう行かないと。でも美味そうだね・・・」
K子は間食王だ。すぐに目先の食べ物に目がくらんで口に入れてしまう。
そして肝心の食事のときにはおなか一杯だ。
小学生かキミは。
ここで食べてはいけない。
ayu「やっぱダメ。」
危うく騙されるところだった。
地下鉄の出口から沢山の人が出てくる。おっちゃんが号外を配るように人々に新聞を配っていた。
どうやらバルセロナは新聞はタダらしい。
僕はどきどきしながらタダの新聞をもらってみようとおっちゃんに近づいてみる。
おっちゃん「(ニヤリ。)」
僕に新聞を渡しながらおっちゃんは蔑むような目で僕を見て笑った。それは
失笑そのもの。
その「ニヤリ」には
「キミどうせ読めないんでしょ?」
が含まれていたに違いない。あぁどうせ読めないですよ。
K子「(ニヤリ。)」
キミまで・・・・・
そんなことを繰り返しながら、ふらふら路地に入り写真をバシバシ撮りながら、「カテドラル」到着。直訳すると「聖堂」。大きな教会といったところか。
僕は宗教的なことは全くの無知だがそんなものを抜きにしても凄い幻想的な室内。外観もさることながらいくつもの像が立ち並び、淡い光が差し込む室内はコトバをなくす。
写真撮影禁止の札がなかったため、恐る恐るビデオを回すK子
すると背後から大きな音が。
ウィーーーーーン。
万引きが見つかった中学生のようにビクっとするK子。
祭壇のほうを見るとおばちゃんが掃除をしている。
K子「掃除してんじゃねーよ。」
日本語でのツッコミ。言葉がわからないと強気だ。
よかったね。怒られなくて。(笑
待ち合わせの場所へ来たのは、日本語が上手いのか上手くないのかわからない、横浜に住んでたというスペイン人の「ザビエル」さんだった。
日本人向けの半日観光ということで、他にも2組の女性グループと同行することに。
本来ならば女性ばかりというのはかなりワクワクなのだが、Kの目が妖しく光るのを僕は見逃さなかった。
ザビエルさんが一通り説明しながらバルセロナ名所をマイクロバスで回るのだが、このザビエルさんの発音は少々聞き取りにくい。結構ツライ。日本語って難しそう。
ザビエル「ボクハヨコハマニスンダコトガアリマスー。ニクマンダイスキデスー。」
一同「・・・・・」
ザビエル「ミナサンイマカラモンジュウィックノオカニイテミマスー。コノオカはー・・・」
聞いてるだけで疲労感を覚える。ときどき、僕らに質問をふりながらガイドを進めるザビエルさんはものすごく優しく良いガイドぶりだった。時折見せるダジャレがおちゃめだ。
ただ日本語が下手なのを除いて・・・
モンジュウィックの丘の素晴らしい景色を眺めながらザビエルさんの説明は続く。
隣を見ると、ビデオカメラを構えたK子が一人でビデオに向かって解説を入れながら風景をとっている。
キミ少しは話を聞ききなさいよ。(怒
その後、ぐるりと市内観光をした後、いよいよサグラダファミリアへと到着した。
随分前からその姿は見ることが出来ていたのだが、改めて間近で見るとその驚異的なまでの壮大さ、緻密さにはもう圧倒するしかない。
そこで二人が目にしたものは―――――
何の前触れも無く次回へ続くのであった・・・・