大人気テキスト(ホントか?)新婚旅行物語、堂々の最終回です。まだ読んでいない方は第1章よりどうぞ。感想なんか頂けるとうれしいす。
シチリアの夜はあっさりと明けた。
2泊目のカポタオルミナの朝食はやっぱり美味かった。必要以上に食事を詰め込む僕ら。
もちろんコーヒーは最低3杯はおかわりだ。
帰りたくない。
それはガウディの素晴しさに魅了されたバルセロナでも、のんびりと島全体をツーリングし、cafe del marで酒を飲んだイビサでも思ったことだが、それに負けないくらいこの「カポ・タオルミナ」のホテルは最高だった。
空港に向かう送迎車の中で僕らは思いを巡らせた。
空港に着くと素早くチェックインを済ます。もう手馴れたもんだ。
僕らは時間も結構ある為、空港内のカフェに入ることにした。ここでの注文も旅行初日のようにアタフタするでもなく、スムーズに注文をこなす。なんか旅慣れた旅行者のような気がして不思議なカンジだ。
後一泊でこの長いようで短かった旅も終わる。なんだか寂しい気分だ。
カフェでコーヒーとパニーニを食べながら僕らは次の日程の事を考えることにした。
- ayu
- 「あと一日だね。最後のローマはどこにいこうか。」
- K
- 「もちろんパスタと、ピザと、グラタンと・・・」
- ayu
- 「やっぱり食い物なのね。」
- K
- 「あ!」
- ayu
- 「え?何?何?」
- K
- 「お、お土産買ってない・・・・」
- ayu
- 「あ・・・・・」
僕らは遊び呆けるのに夢中でほとんどお土産を買っていなかった。
つうか、旅行前に嫁K子の母親から、親戚から餞別と言う名のお金を受け取っていたのを今頃思い出したバカな僕ら。
- ayu
- 「ま、まずいね・・・」
- K
- 「ローマ観光してもつまんないし、土産を買うことにしよう」
- ayu
- 「うーん・・・ま、いいか。」
というわけで、観光してもつまんないローマ(ローマを知るヒトに怒られそう)は急遽買い物をすることになった。
最後にチェックインしたホテルは「ホテル・クィリナーレ」。星の数4つでカポタオルミナと同じだが、どう考えても見劣りする。広いのは入り口だけで、なんとも清潔感のない、狭い客室が寂しくなった。
- K
- 「ナニコレ!狭っ!キタナっ!」
- ayu
- 「ホントだねえ。」
早速ホテルを出た僕らはガイドブック片手に地下鉄に乗った。チケットは相変わらず買い方が難しい。何度硬貨を入れても返ってくるのだ。
となりでオヤジがニヤニヤしている。
- オヤジ
- 「■×○●◎!」
- ayu
- 「あ?」
- オヤジ
- 「■×○●◎!」
- ayu
- 「あ?」
やっぱり会話は無理のようです(泣
が、オヤジの親切な身振り手振りでなんとなくわかった。小さい硬貨から入れると良さそうだ。と、すんなりお金を飲み込んでくれるではないか!
なぜ入れるお金に順序があるのか。イタリアよ(怒
地下鉄に乗った僕らはやはりスペイン坂へ。日本人のルツボに着いた僕らは悲しくなった。
手始めにガイドブックで「有名な皮手袋の店」を探して入る。人気の店にしては静かだ。客は僕ら以外に一人しかいない。
- ayu
- 「チャオ」
- 店員
- 「あー、日本人二階へお願いします。←めちゃ日本語」
- ayu
- 「え?」
- 店員
- 「日本人の方、二階へどうぞ(怒」
日本人専用フロアがこの店には存在するらしい。やたら日本語が流暢な店員に促され二階へ。
しかしこのヒトはなぜ怒っているのか?
二階に上がって納得した。そこには海外旅行に買い物をしに来たとしか思えない
手袋を何十個も買い漁っていくおばさま達(以下オバ)の群れが所狭しと埋め尽くされていた。
- オバ1
- 「この色をあと5つね」
- オバ2
- 「もっと安いのはないの?」
- オバ3
- 「あっちの店のほうが安かったわよ(怒」
- オバ4
- 「この色はワタシのものよ(怒」
- オバ5
- 「ええとこれは隣の田中さんの分、これはイトコのカオリちゃんの分、ええと(以下略)」
・
・
(以下略)
うぜえ。まじうぜえ。
他の国の方は一人もいない、そこだけが、三越の冬のバーゲン初日状態だった。
日本人に対する海外の方の印象って、やっぱりこれが強いんだろうなあと、改めて思った。
僕らはいくつかの手袋を買い(結局買ったのかよ!)
そそくさとバーゲン会場を後にした。
いくつかのお土産を買った僕らは他のお店にも行くことにした。一番栄えている手袋の店以外は閑散としている。
- ayu
- 「も、もしかして日曜日だから?」
そうなのである。ローマという街は日曜日はきっちりお休みをとるのである。観光で来た日本人にはこれはたまらない。スペイン坂付近のアルマーニ、グッチ、ヴィトン等のブランド店が軒並み閉店している。
もっとも、全く興味のない僕にとっては好都合だったが。
- K
- 「グッチは?ワタシのグッチは?」
- ayu
- 「ざんねーん!お店は閉まってまあす!(笑」
- K
- 「うるさいよ(怒」
イタリア人は日曜のサッカーの試合のために休んでいるのだろうか?全く日本とはエライ違いだ。海外旅行にこれから行かれる方は十分注意したほうが良いかも。
ダダをこねても仕方ないので、僕らは当初の予定であった観光地、「サンピエトロ寺院」へ向かった。サン・ピエトロ寺院は初期ルネサンス式の代表建築で、カトリックの総本山と呼ばれるらしく、世界各国からここに参拝する事を目的に人々が集まるそうだ。
手袋を買いにローマに集まる日本人とは雲泥の差だとちょっとだけ思う。こういう宗教的な意義のある場所に僕らは全く縁がないと思いながら、ちょっとだけ見て次はどこにいこうかと考えながら、敷地内に入った。どうせ大した事ないだろうとタカをくくっていたサンピエトロはもう別世界だった。
壮大な建物、周りを取り囲む像、厳格な鐘の音。
ふと隣をみると、ターバンを被った衣装をまとった異国の方が涙を流し、寺院に向かって祈っている。
この雰囲気、ただ事じゃないです。
入場口は大行列で、それもそのはず、テロを意識してか手荷物チェックがあるのだ。無事チェックが終わり、中に入って更に僕らは驚愕した。
ちょっとコトバにできなかったので写真で。
この建物の中に結局僕らは一時間以上もいるハメになった。宗教感のない僕らでも十分感動するに値する建物だった。いやあすごい。
僕らはコトバも無く、サンピエトロ寺院を後にした。後ろで鐘の音が鳴り響く。聖なる所というのはこういうところのことを言うのだろうなと改めて思った。
結構長居したため、既に日は暮れ始めていたが、ローマの思い出にと、かの有名な「トレビの泉」に行くことにした。
- ayu
- 「トレビの泉にでも行ってみる?」
- K
- 「うーん。正直、どうでもいい」
- ayu
- 「そだね。でもせっかくローマに来たんだし。」
- K
- 「っていうか、ビザを食べたいー。」
- ayu
- 「・・・(もう食いもんかよ!)」
地図で見るとそんなに場所は離れていなかった為、歩いていくことにした。この旅はホントよく歩く旅だ。
結構な距離を歩いて僕らはやっと目的地に辿り着いた。
そこで見た光景は・・・
- ayu
- 「また日本人だらけかよ!」
もう興ざめですよ。まじで。
なんか日本人が一杯で歩けないんです。ブチ切れですよ。もうね、アホかと。馬鹿かと。そんで、若いカップルが
「よーし、僕ちゃんコインなげちゃうぞー」
なんて言ってんの。おめでてーな。コイン投げなんてきょうび流行んねえんだっつーの。お前はただ単にコインが投げられればいいだけじゃねえのかと問いたい。問い詰めたい。小一時間(以下略
ま、これはいいとして。
今まで行った感動的な場所達の価値がどっかに行ってしまうほど最低な場所だった。みんなジェラート片手にギャーギャー言ってるし(泣
僕らはそそくさとレストランを探しに歩き出すことにした。この日のお題は「うまいピザ」だ。
3日前に行ったスペイン坂南の、路地が迷路のように入り組んだリストランテ街に行くことにした。トレビの泉からもちろん歩いて。
- ayu
- 「どこに入ろうか・・・」
- K
- 「では今回は適当に入ってみることにします。じゃ、ここ!」
- ayu
- 「早っ!」
というわけで、小さなピザのお店に入った。どうやら全て自家製のピザらしい。愛想の良い、いかにもイタリア料理店の店主という感じのがたいの良いオヤジがこっちに来る。僕はオヤジに辞書片手に聞いてみることにした。落ち着いていけばできるはず!以下大体の会話。
- ayu
- 「こんばんは。」
- 店主
- 「こんばんは!まずは飲み物は何にする?」
- ayu
- 「生ビール一杯とガス抜きミネラルウォーター下さい」
- 店主
- 「あいよ!で、ピザは?」
- ayu
- 「ええと。この店のオススメはどれですか?」
- 店主
- 「オススメ?そりゃあ全部オススメだよ!がっはっはっは!」
こんな豪快な感じの明るい店だった。家庭的なイタリア料理店というのはこんな感じなのだろうか?お客の一人一人に店主が声をかけていく。
味も最高に美味かった。
僕らは大満足でホテルへと向かった。途中、屋台でワインを一本買った。ホテルに帰りワインで乾杯することにした。
今日はこの旅行最後のホテルだ。色々あったが、なんとか無事に旅行が出来て本当に良かった。
しかし、良く歩いたなあ。
この心地よい疲れをシャワーで癒し、ワインを空けた。
この旅に乾杯!
僕らは10日間の思い出を語りながら美味しいワインを飲んだ。この旅は色々あったが概ね成功したといえる。ほとんどトラブルもなくここまできた。
- ayu
- 「いやあ、あっという間の10日間だったね。楽しかったよ」
ふと見ると嫁K子はワインを片手にベットの上で寝ている。
- K
- 「あと5分、あと5分だけ寝かせて・・・・」
キミハイツモアト5フンデスネ
もう朝まで起きることのない嫁K子を尻目にもうこの旅の恒例となった
一人ワイン読書
とともに過ぎていく、ローマの最後の夜だった。(村上春樹/ねじまき鳥クロニクル3冊読破しました。結構オモロかった。)
ここまでで旅の日記は終わりとする。この後無事に日本に帰国できたのは言うまでもない。
あまり買い物をしていなかった僕らは免税店にてのラストスパートで大量の免税品をゲットしてしまい、
翌々月のカード明細を見て卒倒した
というオチがついた。
振り返るとこの日記、完成までに一年もかかってしまった。最後の方は記憶も曖昧になっていて撮った写真を見ながらの執筆となった。
あまり海外旅行経験がない僕らだが。今回の旅で痛感したのは、自分で組み立てる旅は楽しさも倍増ということだ。
ツアコンがいない分トラブルも多いが、やはり行きたいところを自分たちで調べ、自分たちで行程を組み立てて、自分たちの足で行動するのはもの凄い達成感だった。
ツアーでは絶対味わえない旅がそこにはある。なにせ街を歩くだけで楽しくて仕方なく、面白い店を発見しては入り、美味しそうな店を見つけては食し、自由気ままに行動できる旅の醍醐味を味わえたのは本当に良かった。
この旅行記を読んで旅行に行きたくなる人がいることを祈って。
新婚旅行物語 完
やっと福岡に帰ってきました。久しぶりの我が家は月並みですがやっぱり落ち着きます。
しばらく離れていたユウヒも遊びつかれてソファーでぐったり寝言を言ってます。
改めまして、明けましておめでとうございます。
今年もクロスブリードをよろしくお願い致します。
昨年は愛犬の死、新しい家族、イベント出場と、色々ありましたが、なんとか新年を迎えることができました。
今年はDJとしての更なる向上はもとより、サイトの発展も頑張って行きたいと思っておりますのでよろしくお願いします。
バカテキストは明日より再開です。まだかまだかといわれ続けて一年越しで書いてきた新婚旅行物語の完結から今年ははじめたいと思ってますのでお楽しみに。